Archive for the ‘雇用問題’ Category

変形労働時間制とフレックスタイム制をご紹介

2016-11-16

労働時間制度シリーズ第4弾

 労働時間制度に関する記事もこれで4回目となりました。
 第1回からお伝えさせて頂いておりますが、会社の実態に即した労働時間制を採用することが、生産性の向上やコンプライアンスに結実していきます。
 第2回と第3回を通して、変形労働時間制とフレックスタイム制をご紹介させて頂きました。
 この2つは、企業の労働時間の設計についての制度です。
労働時間の設計を変えることで、原則的な労働時間(1日8時間、週40時間)を変更し、労働実態に即した労働時間制度を採用できるというものです。
また、労働法では、労働時間の設計の変更のほかにも、労働時間の算定の方法によって法定労働時間の制限を解除する特例も設けられています。
 労働時間の算定についての特例にもいくつかの制度がありますが、今回はその中でもみなし労働時間制についてご紹介いたします。
みなし労働時間制とは、簡単に言うと実際に何時間労働したかにかかわらず、一定時間労働時間働いたものとみなすという制度です。
この制度には、「事業場外労働のみなし制」や「専門業務型裁量労働制」、「企画業務型裁量労働制」という細かい区分けがあります。
 この3つの区分けは、それぞれ特徴が違っており、業務形態によりどれを採用するのが良いかが変わってきます。
 「事業場外労働のみなし制」(労働基準法38条の2)は、事業場(オフィス)外の業務で、業務時間の算定が困難な外回り営業や報道記者等の場合に適しています。また、出張の場合にもこの制度が用いられることがあります。
 「専門業務型裁量労働制」(労働基準法38条の3)は、研究開発、情報処理システムの分析、デザイナー等の労働者の裁量が大きいとされる業務が対象とされます。もっとも、この制度は、厚生労働省令で定められた業務しか対象とできません。
 「企画業務型裁量労働制」(労働基準法38条の4)は、経営や社内組織、財務等企業の運営に関する企画立案を業務とする場合に適した制度です。
 このように、労働時間のみなし制はそれぞれ適した業務がありますが、導入手続きが複雑なうえ、制度が複雑なこともあってか厚生労働省の調査によると全体の8.4%程度しか利用されていないようです。
 ただ、それぞれ特徴のある制度ですので、業務の実態に即していれば、導入することで生産性の向上やコンプライアンスが図られると思います。

労働時間制度について

2016-11-08

労働時間制度シリーズ第3弾

 労働時間制度に関する記事もこれで3回目となりました。
 第1回から労働時間制度についてお伝えさせて頂いておりますが、労働基準法32条で定められている労働時間制度は、社会の多様化に即して柔軟な制度が設けられています。
 厚生労働省の調査によると、前回ご紹介した変形労働時間制の内1年単位のものを採用している企業は30.6%、1か月単位のものを採用している企業は20.3%に上るそうです。
 このように、変形労働時間制を採用している企業は、50%を超えています。
 今回は、労働時間制度のうちのフレックスタイムについてご紹介させていただきたいと思います。
 フレックスタイム制(労基法32条の3)とは、それぞれの日に何時から何時まで業務をするかを従業員の自由に任せる代わりに、1週40時間・1日8時間の法定労働時間を超えても、清算期間における法定労働時間の総枠を超えない限り時間外労働とならないとする制度です。通常は、出退勤できる時間(フレキシブルタイム)が定められ、全員が必ず出席すべき時間(コアタイム)が定められる場合もあります。
この制度を採用することで、従業員は出退勤時間を自由に決められることで従業員のワークライブバランスに貢献でき、ひいては企業の生産性向上につながると言われています。
 もっとも、出退勤時間が自由になるため、従業員間のコミュニケーションに時間が減ったり、チームメンバーがいないために作業効率が落ちたりするという弊害も考えられます。
 実際、伊藤忠では、一時期フレックスタイム制を採用していましたが、2012年には廃止しています。また、厚生労働省の調査でも、全体の導入率は4.3%に留まるそうです。
フレックスタイム制では、どのように内容を策定するかも重要ですが、どのように運用していくのかがとても大切です。運用の方法によって、会社の創造性・生産性を向上させる労働時間制にもなりますし、逆も状況になってしまうこともあり得ます。
このようにフレックスタイム制は、導入に際しては自社の実態に即しているかを運用面まで含めてよく検討する必要があります。
また、導入に際しては、就業規則の変更(策定)、労使協定の締結等などの手続きも必要となってきます。
 もし、このようなフレックスタイム制にご興味のある方は、弁護士にご相談ください。フレックスタイム制を導入すべきかどうかも含めて、会社の実体に即した労働時間制のご提案をさせて頂きます。また、フレックスタイム制の運用についても、ご対応させて頂きます。

担当 坂口俊幸法律事務所 弁護士 山口晃平

労働時間制度シリーズ第2弾

2016-11-03

労働時間制度シリーズ第2弾

 前回は、会社の労働時間制度について、様々な制度があり、会社に適した労働時間制度を採用することが大切です、とお伝えしました。
 今回は、そのうちの変形労働時間制についてご紹介致します。
 変形労働時間制とは、単位となる期間内において所定労働時間を平均して週法定労働時間(1週間40時間)を超えてなければ、期間内の一部の日や週で法定労働時間を超えても、時間外労働との扱いにしないという制度です。
 少しわかりにくいですが、このような変形労働時間制には、1か月単位のもの(労働基準法32条の2)、1年単位のもの(労働基準法32条の4)、1週間単位のもの(労働基準法32条の5)があります。
 1か月単位の変形労働時間制は、1か月以内の一定期間を平均して1週間40時間を超えていなければ、予め定めた特定の週や日が40時間や8時間を超えても良いというものです。この制度は、1か月の中で繁閑の激しい企業や深夜交代制の業務(タクシー等)、一昼夜交代制の業務に適しています。
 1年単位の変形労働時間制は、1年以内の一定期間を平均して1週間40時間をこえない定めをすれば、予め定めた特定の週・日において1週40時間・1日8時間を超えることができるというものです。この制度は、デパートのように1年の中で特に繁忙時期(お中元・お歳暮等)を持つ企業や結婚式場等に適しています。1年単位の変形労働時間制では、日給月給制を用いている会社であれば、所定労働時間に応じて月々の賃金が変動しますが、月給制として定額に定めることも可能です。なお、当然ですが、変形労働時間制で定めた労働時間を超えた分には割増の賃金が必要です。
1週間単位の変形労働時間制は、1週間40時間の枠内であれば1日10時間まで労働させることができるというものです。ただ、この1週間単位の変形労働時間制は、厚生労働省令で定められた特定の事業(常時30人未満の小売業・旅館・料理店等)についてのみしか認められていません。
 変形労働時間制の概要はこのようになっていますが、その内容はわかりやすいとは言えません。また、導入手続きも労使協定を策定したりと煩雑なことが多いです。
 そのため、多くの方は変形労働時間制を導入すれば良いのかどうかもわからないのではないでしょうか。
 しかし、多くの労働時間制の中から、会社に適した制度を選択することが会社の発展につながることは間違いありません。
 変形労働時間が適しているか、その他の制度も含めてご興味のある方は、弁護士にご相談ください。企業の実体に即した労働時間制のご提案をさせて頂きます。

担当 坂口俊幸法律事務所 弁護士 山口晃平

労働時間制度シリーズ第一弾 電通の新入社員の過労自殺と労働時間法制

2016-10-25

最近、電通の新入社員の方が、過労を苦にして自殺してしまったという痛ましい事件がありました。
この事件では、月100時間を超える過度の残業時間が問題となりましたが、そもそも、法律上の労働時間はどのように定められているのでしょうか。

労働基準法32条では、労働時間は、原則として1日8時間、1週間で40時間以内と定められています。そのため、多くの会社は、5日間8時間+週休2日という労働時間を採用していると思われます。
もっとも、最近では、ユニ・チャームが製造現場を除く全社員を在宅勤務制度としたように、多様な働き方に合わせて労働時間の配分も多様になってきています。
法律では、このような社会のニーズに応えるために、変形労働時間制(週の法定労働時間の枠内に、一定の単位期間の週当たりの労働時間数の平均が収まっていれば良いという時間制度)やフレックスタイム制(1か月等の単位で一定時間数労働すれば、1日の始業と終業を自由に定められる時間制度)などを認めています。
このように労働時間を柔軟化する制度のほかに、三六協定(サブロクキョウテイ)というものもあります。
本来、会社が時間外労働をさせることは許されず、従業員にどうしても時間外労働をしてもらいたい場合には、三六協定という労使協定を締結することで、上限はありますが時間外労働をしてもらうことができます。余談ですが、三六協定は、労働基準法36条に定められているので、「三六(サブロク)」と名づけられました。
冒頭で取り上げた電通でも、労使間で三六協定を締結していました。
会社の業務形態や経営方針に合わせて、最適な労働時間制度を選ぶことが何よりも大切です。最適な労働時間制を採用することで、従業員にとって働きやすい環境を提供でき、ES(従業員満足)の向上、ひいてはCS(顧客満足)の向上を図ることができます。また、無駄な残業時間もなくなります。
逆に、その会社に適さない労働時間制度を採用してしまうと、長時間の残業が増えるにもかかわらず、生産性は低いままという状態を招いてしまうことになりかねません。

もし、自分の会社が適した労働時間制を採用しているか気になった方は、我々弁護士にも相談してみてください。各種の労働時間制を踏まえてサポートをさせて頂きます。

                       担当:坂口俊幸法律事務所 山口晃平

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